今年のセンター試験も終わり2次試験にまっしぐらの頃、あるお父様から息子さんに自由英作文の指導をお願いできないだろうか、というお電話がありました。本番まであと16日を残すばかりでした。センター試験の英語は確か8割前後?取れたが、これまで一度も自由英作文を教わったことがないと言っておられました。このように“超”がつくくらい直前にお願いされた場合、まずお金は“怖くて貰えない”という状況でのスタートになります(笑)。というのは、失敗した場合トラブルになっても困るし私たちも後味が悪いし・・という感じで、彼の場合、半月分のお月謝で9時以降の時間を使って2週間、毎日個別指導をしました。彼を引き受けたのはセンター試験が8割位取れていて教えれば何とかなりそうだったことと、今年は大学受験をする生徒の人数が少なかったこと、そして「火事場の力持ち」的効果が期待できそうだったからです。
自由英作文を書いた事のない生徒さんは、まず解答の“お作法”を勉強するところからのスタートになります。つまり問題文が、What do you think..?で書いてあったら、I think (that)…で書き始めるし、Do you agree..?で書いてあったらI agree/disagree…..で書き始め、(英作文の最後の)結論部分で冒頭に述べた意見を、別の表現を使って再度記述するという、単純そうに見えて奥深い様式を学ぶのです。
アメリカ人講師のジョシュア先生は「これこそ自分が大学で叩き込まれた“論文”の様式だよ。日本の子どもはミニ論文を大学に入る為に書くんだね。」と自由英作文を指導しながら、しきりに関心していました。
上記の様式で書かれていない自由英作文を私たちは「詩」と呼んでいます。「詩」とは、生徒さんが書きたいことを英語で“自由”に記述した文章を皮肉った呼び方です。「詩」では、なかなか点数を稼げないと思います。
部分点を確実に取れる自由英作文は「詩」ではなく論文の様式にのっとった、できるだけ文法ミスの少ない、しかし見栄えの良い構文(soーthat構文など)で書かれた、矛盾の少ないストーリー(ロジックの通った話)である、といえます。
さらに高得点を取りたかったら「ロジック(論理)」を磨く必要がありますが、九州大学に合格した元塾生のように、数学や理科が得意で英語が苦手な理系男子は、英語が足を引っ張らない程度で良いので、部分点をしっかり「かき集められる」だけの自由英作文の練習で十分だと思います。
長々と書きましたが、この生徒さんとは2週間の間に15種類くらい作ってみました。どうだったかな・・と思っていたら、見事合格されたそうです。
直前の飛び込み受験生さんでしたが、お父様によると「英語がおもしろいと感じるようになった」と家で息子さんが言ってくださっていたそうです。
今後のご活躍とご成功をお祈りしています。